家族でできる「在宅避難」の準備と備え。【防災の専門家監修】

2021/08/26

近年、集中豪雨や台風などの災害が都市部でも起き、「在宅避難」への関心が高まっています。感染症対策の面からも、いつ起きるかわからない地震や、台風シーズンを前に必要な備えをしておきたいところですが、具体的に「在宅避難」のためにはどんな準備が必要なのでしょうか。

防災の専門家で、一級建築士として東京都の「建築物の応急危険度判定」防災ボランティアにも登録している松本吉彦さんにお話を伺いました。

取材協力=旭化成ホームズ株式会社

「在宅避難」とは何か

(画像=旭化成ホームズ くらしノベーション研究所)

在宅避難とは、災害が起きたときに「そのまま家にいること」ではありません。災害の状況に応じて、自宅に倒壊や浸水といった危険がない場合に避難所に行かず自宅で生活する方法です。

災害が迫り、ハザードマップで災害が想定されている場合や、自治体から「避難指示」が出るなどリスクが予告されている際は、当面の危険がなくても明るいうちに安全な場所に事前に避難してください。この段階での避難に失敗し、もし浸水が始まったら避難は不可能となり、建物内で2階以上の階へ移動する「垂直避難」が求められます。

避難して安全が確認できてから、家に戻れる場合には自宅へと戻ります。しかし、地域が被災し停電していたり、物流が止まっている場合は、在宅避難の準備がないと自宅へは戻れません。

大都市ではすべての人を避難所に収容できない

大都市では、地震をはじめとする災害時に全員を避難所に収容するのが難しく、在宅避難の重要性が高まっています。

特にコロナ禍では、避難所の密を避けるために、収容人数に制限を設けています。また、避難生活は日常にできるだけ近い環境が理想ですが、避難所での生活にはプライバシーの確保など、さまざまな問題が生じることも。在宅避難なら、いつもの生活に近い形で、災害が収まるまで過せます。

確認はマスト!自治体ごとのハザードマップで“難”を知る

「避難」とは文字の通り、「“難”を知り、“避”ける」を意味します。「災害の想定」から始めて、そのための「対策」を考えることが大切です。災害を想定せずに、対策から始めても意味がありません。

まずは「災害が起こる前」に、次の①~③を準備・把握しておきましょう。

①起こる災害を想定する
②避けられる場所を確認する
③事前にできる対策を確認する

①~③を事前に準備・把握したうえで、「④災害が起きた事後の行動」を正しく選択します。

ハザードマップで避難する場所や方向を事前にチェック

「①起こる災害を想定する」ために、“難”を知る手段として有効なのが「ハザードマップ」です。
ハザードマップとは、過去の災害の知見から想定される災害ごとに作られた地図のことで、自治体別に作成されています。

お住まいの自治体のホームページで「ハザードマップ」と検索すれば、すぐに調べることができるでしょう。

たとえば東京湾や多摩川と接する東京都大田区の場合、ハザードパップには以下のものがあります。

<大田区ハザードマップ(震災編)>
1 火災の被害想定
2 建物倒壊の被害想定
3 液状化可能性マップ
4 津波ハザードマップ

<大田区ハザードマップ(風水害編)>
1-1 多摩川の氾濫(浸水の深さ)
1-2 多摩川の氾濫(浸水が継続する時間)
2-1 高潮の被害(浸水の深さ)
2-2 高潮の被害(浸水が継続する時間)

地図上で自分の家の位置を確かめることで、想定される災害や、リスクの少ない方向がわかります。

「わが家は在宅避難できる?」3つのチェックポイント

では在宅避難をするためには、事前にどんな準備や備えが必要なのでしょうか。住まいが在宅避難できるかどうかを確認するためには、3つのチェックポイントがあります。

①地盤が崩れていないか?

いまは問題なく過ごせていても、地震や台風などで土砂崩れが起きたり、浸水の可能性がある場合、在宅避難は避けてください。ハザードマップを参考に、自分の住まいにどういった災害の可能性があるのか把握しておきましょう。

②建物が傾いていないか?

簡単にできる床の傾きチェックに、ゴルフボールが自然に転がるかどうかを確認する方法があります。ビー玉やパチンコ玉などは、正常な床でも転がるため、ゴルフボールなどのくぼみのあるボールで確認してみましょう。

③室内が荒れていないか?

家具が倒れたり、窓ガラスが割れるなど家の中が危険な状態になってしまうと、在宅避難はできません。家具はできるだけ金具で下地に固定するか、面で突っ張るタイプのものにしましょう。よく見かける突っ張り棒タイプは、天井が変形すると外れてしまいます。

下図のように、家具が人の上や出入口などに倒れてこないよう、家具転倒を想定した置き方も大切です。

(画像 旭化成ホームズ くらしノベーション研究所)

「在宅避難」実施に欠かせない3つのポイント

それでは、在宅避難の実施に欠かせない3つのポイントをご紹介します。

①食料と水の備蓄

災害時の備えとして身近になりつつある言葉に「ローリングストック」があります。これは災害用の特別な保存食ではなく、日常食べる常温保存食を多めにストックしておき、古いものから食べて、食べた分を補充するという備蓄方法です。

在宅避難のためには最低でも「3日分×ご家族の人数分」の水や食料が必要だとされています。ご家族の人数が多くなるほど、ストックすべき食料や水の量は増えるため、家の中で保存場所を常に確保しておくことは、災害対策として非常に重要です。

②エネルギー確保

災害時には電気やガスの供給が止まることも想定されます。必要な情報の確保や生活のために、エネルギーをいかに確保するかも考えなければいけません。

その中で今注目されているのが、太陽光発電や蓄電池です。戸建の場合、災害時には非常用回路に切り替え、蓄電池にためた電気をLDKのみで使用できるようにする、といった使い方も可能です。

③トイレ

在宅避難の際には、トイレが使えるかどうかも大きなポイント。流すための水を浴槽にためておく、携帯トイレ、簡易トイレなどを備えておきましょう。

災害意識は「滅多に起こらない」から「頻繁に起こる」へ

日本では震度5弱以上の地震の回数が、1980年代と2010年代の10年間を比較すると、9倍以上に増えています。1980年~1989年には20回でしたが、2010~2019年には東日本大震災も含め184回も起こっています。

参考:気象庁「震度データベース検索」より

また集中豪雨も増加し排水管から水があふれて浸水する「内水氾濫」もたびたび起きています。内水氾濫は高台であっても起こる可能性があることを忘れてはいけません。

つまり今の日本では、都市部であっても災害は「めったに起こらない」ものから、「頻繁に起こるもの」に変化していると認識する必要があります。そのうえで、住まい選びの重要なポイントになっているのが「レジリエンス(回復力)」です。「災害時に命を守る家」であることはもちろん、「災害後も暮らせる・復旧できる家」であることが求められるようになってきました。

家は「防災」の基本です。家を選ぶ際には間取りや設備も重要ですが、ぜひ「防災性」という視点も加えてみてください。

「家=ハードの強化」はどんどん進んでいますが、「居住者=ソフトの防災への知識」が高まれば、災害を乗り切れる可能性が高まる点を、意識しましょう。

松本吉彦さん
旭化成ホームズ株式会社くらしノベーション研究所顧問、二世帯住宅研究所所長。一級建築士として、「建築物の応急危険度判定」東京都防災ボランティアに登録している。インテリアプランナー・インテリアコーディネーター。東京工業大学・日本女子大学非常勤講師のほか、日本インテリア学会理事も務める。

家は防災の基本!太陽光発電という選択

建物の耐震構造や安全はもちろん、停電でも電気が使えるように太陽光発電+蓄電池といった備えなどがあるかが、防災・環境問題の観点からも住まい選びのポイントになっています。

ヒタタオエナジーでは初期費用0円のヒナタオソーラーをご用意しています。新型コロナの影響でおうち時間が長くなっている今、ご家庭で在宅避難への対策を検討してみてはいかがでしょうか。

⇒ヒナタオ「太陽光発電サービス」の詳細はこちら

こちらの記事では台風に強い家づくりのポイントも紹介しています。台風シーズン到来の前に、ご家族でチェックしておきたいですね!

Top