ZEH(ゼッチ)住宅とは? 補助金の種類やメリット・デメリットを紹介!

2020/12/14

地球温暖化や気候変動などの影響から、世界各国で発生する自然被害が深刻化しています。その要因のひとつとされているのが、二酸化炭素の増加です。私たちのさまざまな経済活動や日々の暮らしの中で排出される二酸化炭素が地球温暖化や気候変動を招く一因となっているのです。

こうした環境問題への対策として、日本政府は私たちひとりひとりに向けて、省エネルギー化の推進を働きかけています。その中で今、注目が高まっているのが、省エネ性能に加えてエネルギーをつくり出す機能も備えた「ZEH(ゼッチ)」の家です。

省エネだけでなく、健康にも良いというZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、どんな住宅なのでしょうか? 今回は、気になる補助金情報も合わせて、ZEHについてご紹介します。

ZEH(ゼッチ)住宅とは?

ZEH(ゼッチ)住宅とは?

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことを、略してZEH(ゼッチ)と呼びます。

経済産業省の資源エネルギー庁によると、“ZEH(ゼッチ)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅」”と定義しています(※)

つまり、ZEHとは断熱性能を上げ、室内の快適性を保ちながら省エネを実現、さらに消費電力を上まわる発電システムを導入することで、家のエネルギー消費量をゼロ以下にするという住まいのこと。太陽光発電などの自然エネルギーを利用して、エネルギーを自給自足するのがZEHの大きな特徴になっています。

※1) 経済産業省 資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

ZEH住宅の注目が高まっている理由

資源エネルギー庁の調べによると、2016年度の日本のエネルギー消費量は1990年と比較して、多くの部門で減少または微増にとどまる傾向にあります。しかし家庭部門におけるエネルギー消費量は20%増加し、全エネルギー消費量の約30%を占めました(※2)

また、2011年の東日本大震災以降は、節電意識の向上と同時に、電力需給のひっ迫やエネルギー価格が不安定になったことから、各家庭における省エネの意識や行動がより求められるようになりました。

こうした背景から、国内では建築物におけるさらなる省エネルギー対策の強化が必要だと考えられ、家庭で省エネと創エネを可能にするZEH住宅の普及が推奨されるようになったのです。経済産業省では、2030年までに新築住宅の平均年間一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ(ZEH)になることを目標に掲げています(※3)。

※2) 経済産業省 資源エネルギー庁「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会2019
※3)経済産業省 資源エネルギー庁「ZEH普及に向けて〜これからの施策展開〜

ZEHに必要な条件とは?

ZEHの家を建てるとき、必要な条件は「高断熱」、「省エネ」、「創エネ」の3つ。断熱と省エネでエネルギー消費効率を上げ、自家発電(創エネ)でエネルギー消費量をゼロ以下にする要件をクリアできてはじめて、ZEHと認められます。

また、ZEHは断熱性能や省エネ性能に応じて「ZEH+(ゼッチプラス)」や、「ZEH+R(ゼッチプラスアール)」などの種類に分類されています。

●高断熱

ZEHとして認定されるためには暑さや寒さに影響されにくいよう断熱性能を高めることが必要です。高断熱にすると、夏は涼しく、冬は暖かい住宅にすることができ、家の中の温度ムラをなくすことができます。断熱性能を上げるためには、壁の中に断熱材を入れたり、窓など開口部の気密性を高めたりする施工をおこないます。家の中の温度を快適に保つことができれば、冷暖房の使用を抑えてエネルギー消費を減らすこともできます。

●省エネ

省エネ性能を測るためにZEHでは、エネルギー量を確認するための「HEMS(ヘムス)」と呼ばれるシステムを導入します。住宅のエネルギー消費量と太陽光発電量をわかりやすく見える化することで、省エネの実績を確認することができる仕組みです。そのほかにも、照明器具にLEDを用いたり、エネルギー効率の良い設備機器を使用したりして省エネ性能を高めます。

●創エネ

ZEHでは、消費するエネルギーを上まわるエネルギーを創出することが求められます。自家発電に使われるシステムは、主に太陽光発電などの再生可能エネルギーです。さらに、蓄電池を備え付ければ発電した電力を貯めておくことも可能になります。

ZEHにはメリットがたくさん!

ZEHにはメリットがたくさん!

暑い夏も寒い冬も家の中で快適に過ごすことができるうえ、創エネ機能をもつZEHは、電気代を抑えたり災害時にも強いというメリットがあります。さらに、国から補助金が受けられることも注目すべき点といえるでしょう。ZEHを選ぶメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

メリット①電気代が抑えられる!

ZEHの大きなメリットは、なんと言っても電気代が節約できること。住宅生産団体連合会の資料によると、東京などの温暖地でZEHに適合する住宅にした場合、光熱費がこれまでの住宅に比べて年間約120,000円の節約が可能で、札幌などの寒冷地では年間約180,000円の節約になるという試算が示されています(※4)。

※4)一般社団法人 住宅生産団体連合会「快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅

メリット②家族の健康を守る!

断熱性能が低い従来の住宅では、家の中の温度変化や結露が健康を妨げる要因になっていました。高断熱・高気密を実現するZEHは、各部屋の温度差を減らして、健康的な暮らしを叶えてくれます。

●ヒートショックを防ぐ
部屋ごとに温度差が大きいと、血圧が急激に変動して心臓や脳に負担をかけてしまいます。「ヒートショック」と呼ばれるこの現象は、特に高齢者のリスクが高くなっています。たとえば、入浴時に暖かい室内→寒い脱衣所→熱い湯船に移動する過程で体に負荷がかかり、大きな事故につながりやすいといわれています。ZEHは、高い断熱性能で各部屋の温度差を小さくするため、このヒートショックによる事故を防ぐことも期待されています。

●カビ・ダニから守る
家のカビやダニは、結露から発生しやすいのが特徴です。アレルギーや感染症の原因にもなるカビやダニは、断熱性能を上げ機密性を高めたZEHの家では発生を抑制することができます。

メリット③災害時に強い!

太陽光発電システムや家庭用燃料電池を備えたZEHなら、もしもの災害時も安心です。太陽光発電システムの場合、停電時にも自立運転で、最大1,500Wの電力をまかなうことが可能。さらに、蓄電池を設置すれば、夜間にも電力供給をおこなうことができるようになります。これによって、状況によっては被災した場合にも自宅での避難生活が可能になるかもしれません。

ZEH住宅に課題はある?

ZEH住宅に課題はある?

高い初期費用

メリットばかりに思えるZEHですが、普及にはいくつか課題が残されています。たとえば初期費用の高さ。蓄電システムや創エネシステムの設置、省エネ管理システム(HEMS)の導入、などを含めると、初期導入費用で300〜500万円になってしまうこともあります。

※5)総務省 統計局「第22章 家計(22- 1 1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯)

光熱費はゼロではない!?

「使うエネルギー≦創るエネルギー」として、一次エネルギー消費量をゼロ以下にするのがZEHの定義ですが、ZEHの削減目標である一次エネルギー消費量は、暖冷房、換気、給湯、照明により消費されるエネルギーが対象であり、家電等によるエネルギー消費量は含まれていません。したがって電力会社との契約によって毎月支払う基本料金や創エネシステムで賄いきれなかった電力使用量などがかかるため、注意が必要です。

ZEHの補助金制度

ZEHを推奨していくために、国は2012年から主に新築の家を建てる方を対象に、補助金の支給制度を始めました。2017年までに約290,000組がZEHを導入して、補助金を受け取っています。2020年度のZEHに関する補助金については以下の通りです。

●ZEH
対象者:新築住宅を建築・購入する個人
対象住宅:ZEH、Nealy ZEH(気象条件や建築地特有の制約でZEHの実現がむずかしい寒冷地、低日射地域、多雪地域に限り、国が定めた「めざすべき水準」を満たした住宅)、ZEH Oriented(都市部狭小地の二階建以上および多雪地域に限りZEHの実現がむずかしい場合、国が定めた「めざすべき水準」を満たした住宅)
補助金名:ZEH支援事業
補助額:60万円/戸(補助対象住宅に定置型蓄電システムを導入する場合は、2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額を上限に加算)
公募方法:先着方式(予算が上限に達するまで)

●ZEH+(ゼッチプラス)
対象者:新築住宅を建築・購入する個人
対象住宅:ZEH+(ZEHの基準を満たした上で、一次エネルギー消費量のさらなる削減を実現した住宅)、Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
補助金名:ZEH+実証事業
補助額:〈ZEH+〉105万円/戸、〈次世代ZEH+〉105万円+α/戸(定置型蓄電システムは2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額を加算、燃料電池は定額4〜11万円を加算・種類によって3万円加算、V2H充電設備には補助金対象経費の1/2または75万円の低い額を加算)
公募方法:事前枠付与方式

詳細については、各補助事業の公募要領をご覧ください。

ZEHが当たり前になる時代へ

建築コストなど初期費用が課題となっているZEHですが、国は2030年までに新築住宅の平均年間一次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロ(ZEH)にすることを目指しています。ZEH住宅が当たり前になれば、エネルギー消費は大幅に削減され、環境問題の改善にも大きく貢献することになります。

太陽光発電システムを設置する費用も年々安くなっているので、これから新築を建てる方は、環境にやさしく、家族の健康も守るZEHの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

また新築を建てる予定はなくても、日々の暮らしの中で少し意識を変えるだけでも環境にやさしい暮らしをはじめることはできます。気軽にできることから始めてみませんか?

⇒日々の工夫でエコな暮らしを実現するヒントはこちら

<関連記事>
いま家を建てるなら”エコハウス”!どんな家なのか専門家に聞いてみた!

Top