要らないものを欲しいものへ!いま熱い「アップサイクル」とリサイクルとの違いとは?

2020/11/25

「アップサイクル」という言葉を聞いたことはありませんか?アップサイクルは、不要になったものの本来の形や特徴を活かしながら新しい価値を与え、生まれ変わらせるアイデアです。

コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたこともあり、ミニマリストや断捨離、リサイクル、リユース、リメイクと同様に、アップサイクルという言葉をよく聞くようになりました。これらの言葉のなかでも「捨てる」こと自体に疑問を投げかけているのがアップサイクルです。では、具体的にどのような活動なのか、事例を交えながら紹介します。

アップサイクルとは?考え方が生まれたきっかけ

まずはアップサイクルという考え方の発端となった、ごみ問題からお話しましょう。

アップサイクルのきっかけとなったごみ問題

私たちが暮らしている世の中は、もので溢れています。生産技術の進歩により、大量生産・大量消費が可能になり、良質で安価なものが手に入るようになりましたが、同時に廃棄されるものも増えてきました。

2018年度における日本のごみの排出量は4,272万トン。ひとり1日当たりに換算すると、918グラムものごみを毎日、排出しているのです(※1)。年を追うごとにごみの量は少しずつ減ってきてはいますが、それでも日本は都市廃棄物(家庭ごみ)の年間総量が世界で4番目に多い国となっています(※2)。

ごみ問題では、不法投棄や環境汚染が大きく取り上げられがちですが、それだけではなく、これらのごみを処分するための焼却施設や埋立地の不足も課題となっています。さらにごみを処分するためには、焼却施設でごみを処分するためにも、膨大なエネルギー資源が必要です。

2018年度のごみ焼却施設で使われた電気の量(総発電電力量)は9,553 GWh。約321万世帯分の年間電力使用量に相当する規模です(※1)。

エネルギー削減のためにも、世界の多くの国でごみを出さないことをめざすゼロウェイストや、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に関する動きが広まっています。不要になったものをすぐに捨ててしまうのではなく、再利用して長く使おうという考え方は、世界的な潮流となっているのです。

そんななか新たに生まれた取り組みが「アップサイクル(upcycle)」。古くなってしまったものや不要になったものに新しいアイデアを吹き込み、デザインし直すことで生まれ変わらせ、使い捨てをやめてものを大切にするという考え方が基本。一般社団法人日本アップサイクル協会では、「ごみという概念を捨てる」ことをコンセプトに、アップサイクルを広める活動を推進しています。

※1)環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度)について
※2)グローバルノート「世界の都市廃棄物(ゴミ)排出量 国別ランキング・推移

アップサイクルとリサイクル、リユース、リメイクとの違いは?

アップサイクルと似た言葉に、リサイクル、リユース、リメイクがあります。不要になったものを新しく生まれ変わらせるという意味で同じようにとらえられがちですが、少しニュアンスが異なります。では、どのような違いがあるのか、見ていきましょう。

リサイクル(Recycle)

不要になったものを回収して原料に戻して再利用すること。たとえば、アルミ缶を溶かしてアルミニウムとして再生させたり、牛乳パックからトイレットペーパーをつくったりするなど。木クズを燃料として発電をおこなったり、熱エネルギーとして再利用したりすることもリサイクルに含まれます。

リユース(Reuse)

ビール瓶を洗って再利用するなど、使用済の製品を繰り返し利用すること。不要な衣類やおもちゃなどを買い取ってくれるリサイクルショップは、リユースの仕組みです。

リメイク(Remake)

つくり直すという意味のリメイクは、元の製品に手を加えてふたたび使えるようにすること。ファッション用語としてよく使われ、不要なデニムでカバンをつくったりドレスをワンピースにつくり直したりするなど。リメイクには価値を上げる(アップする)ものと下げる(ダウンする)ものの、どちらの意味も含まれていますが、価値を上げるほうを「アップサイクル」と呼んでいます。

アップサイクルは不用品を“より魅力的で価値のあるもの”につくり変えるという考え方。つまり、そのものの価値をよりアップさせ、ごみを宝物に変える、人が欲しいものへとつくり直すという意味です。愛着を持ってものを使い、別のものに生まれ変わらせるアップサイクルは、持続可能な社会づくりの実現に向けた取り組みとして、今、注目を集めつつあるのです。

では、具体的にどのようなアイデアがアップサイクルなのでしょうか?

アップサイクルの実例・アイデアを紹介!

アップサイクルで価値のあるモノに生まれ変わった製品は、日本でもすでにたくさん流通しています。アップサイクルの実例と、ご家庭でも簡単にできるアップサイクルのアイデアを見ていきましょう。

アップサイクルの取り組み

アップサイクルは、製品を解体したり切り貼りして新しいモノを生み出すことが容易なファッション業界が先行しています。知っているあのブランドも、アップサイクルに取り組んでいました。

フライターグ(FREITAG)

1993年にスイスで誕生したフライターグは、アップサイクルのパイオニアともいえるブランド。自動車のシートベルトやタイヤのゴムをはじめ、トラックの荷台で使用される色とりどりのホロ(防水布)などを使って、スタイリッシュなバッグやポーチなどさまざまな製品にアップサイクルさせています。

パタゴニア(Patagonia)

日本でも人気のアウトドアブランドパタゴニアは、環境に配慮した製品づくりなど以前からサステナブルな取り組みが注目されてきました。「ReCrafted」のプロジェクトでは、回収されたパタゴニア製品の古着のなかで、修復不能な衣料品から素材を切り出し、新しい製品をつくるアップサイクルを実践しています。

首都高オフィシャルグッズ × ROOTOTE

なんと、首都高速道路がアップサイクルでトートバッグをつくっています。「HATARAKU TOTE」は、高速道路で掲示されていた横断幕をアップサイクルしたアイデア商品です。丈夫な生地でつくられているので耐久性と実用性に優れ、デザインも個性的で密かな人気を集めています。

このように世界的な有名ブランドだけでなく、アップサイクルの商品を開発するスタートアップの企業も増えています。家財の端材で作る時計ブランド「WEWOOD」や、地中海で難民を運んできたゴムボートをアップサイクルしたバッグを製作するブランド「mimycri」など、そのアイデアはとどまるところがありません。

廃棄されるものは、アイデア次第でスタイリッシュで魅力的な製品にアップサイクルすることができるのです。

自宅でできるアップサイクルのアイデア

環境に配慮したサステナブルな取り組みであるアップサイクルは、高い技術が必要というわけではありません。ご家庭でも気軽に取り入れることができます。

小物のアップサイクルアイデア


(出典:THE NORTH FACE JAPAN)

・段ボールをお財布にアップサイクル
・着なくなったTシャツはクッションカバーやマスク、小物入れなどさまざまなモノにアップサイクル
・毛玉ができたりほつれてしまったセーターをルームシューズや靴下に
・着古したデニムは、バックポケットを利用したエプロンに

インテリアのアップサイクルアイデア


・りんご箱やワイン箱をテーブルやインテリアにアップサイクル
・スケートボードを机や椅子にアップサイクル
・まな板に色をぬり、数字札をつければカレンダーに
・卵の殻を観葉植物のポットに、空き缶をフラワーベースにアップサイクル

出典:キナリノDIYer(s)

ご家庭でもDIYや洋服のリメイクで楽しみながらアップサイクルを取り入れることができます。不用品をごみとして捨てるのではなく、楽しみを加えてアレンジすることをぜひ考えてみてください。

暮らしの中で気軽に取り組めるアップサイクル

環境への配慮の意識から生まれたアップサイクルの発想は、とてもクリエイティブなもの。地球のごみを減らすため、世界中でさまざまなアップサイクルのアイデアが生み出されていますが、ご家庭でもアイデア次第でさまざまなアップサイクルができます。みなさんのご家庭ではどんなアイデアが出てくるのでしょうか?ご家族やお子さんと一緒に、ぜひアップサイクルに挑戦してみてください。

3Rやアップサイクルのほかにも、私たちが環境について考えたり、未来の地球を守ったりするためにできることはたくさんあります。環境にやさしいアクションについてもっと知りたい方は、ぜひこちらのコンテンツもご覧ください!

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