朝食抜きはなぜだめ?親子で食育。1日のはじまり「朝ごはん」の役割とは【管理栄養士監修】

2021/04/14

3食バランス良く食べることが大切だと理解はしていても、時間がなくてついつい朝食を抜いてしまった……という経験はありませんか。文部科学省によると、毎日きちんと朝食をとる児童生徒ほど、学力調査や体力テストの得点が高い傾向にあるという調査結果もあります。なぜ朝ごはんは大切なのでしょうか。今回は、朝ごはんの役割や効果、朝食づくりのヒントなど、管理栄養士の渥美まゆ美さんにお話を伺いました。

体内リズムは、朝ごはんによってつくられる!朝ごはんの重要な役割とは?

朝ごはんには、“1日3食のうちの1食”ということだけでなく、夜と朝の体のスイッチを切り替えるという重要な役割があります。

健康維持のために欠かせない体内リズムは、朝の光と朝ごはんによってつくられます。大人の体も子どもの体も、朝の光を浴び、朝ごはんを食べることによって脳や消化器官が目覚め、しっかりと1日活動できる状態がつくられるのです。

特に子どもは活動量が多いうえに、成長に必要な栄養素を摂取しないといけません。朝食を抜いてしまうと、1日に必要な栄養素を十分に補えなくなってしまうため、学校での勉強や、体育の授業における運動などにも影響をおよぼすとされています。

朝ごはんは体にどのような変化をもたらすのか。もう少し詳しくみていきましょう。

体温上昇、排便習慣、脳へのエネルギー供給……朝ごはんの効果

健康維持に欠かせない体内リズムをつくり、1日の活動に必要なエネルギーを補給する朝ごはんには、次のような効果があります。

【効果1】体温を上昇させる

朝ごはんを食べることで、脳や体が刺激され、睡眠中に低下した体温が上昇し、午前中から元気に活動できるようになります。体温上昇には、特に肉や魚、卵などに含まれるたんぱく質が効果的です。

【効果2】腸を刺激して、排便習慣がつく

朝ごはんには腸を刺激し、排便をうながす働きがあります。最近は大人だけでなく子どもも便秘に悩んでいたり、排便習慣が不規則になっていたりする方が増えています。食事に食物繊維が不足しているなど、理由はさまざまですが、朝トイレに行く時間がなかったり、朝ごはんをしっかり食べていないことも、便意が起きない原因のひとつと考えられています。

【効果3】脳へのエネルギー源になる

脳は寝ている間にも活動し、エネルギーを消費しています。朝、目が覚めるころには、脳のエネルギーはほぼ空っぽの状態です。

文部科学省の調査によると、朝食の摂取と学力調査の平均正答率には関係があるとされ、毎日朝食をとる児童生徒ほど、学力調査の得点が高い傾向にあります。朝食を欠くことで脳のエネルギーが不足すると、集中力や記憶力、持続力が低下してしまうことが影響のひとつと考えられています。



出典:国立教育政策研究所「平成31年度(令和元年度) 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料

朝ごはんは、脳へエネルギーを供給し、脳を目覚めさせてくれる効果を発揮します。特にごはんやパンに含まれる炭水化物は、体内でブドウ糖に分解され、脳のエネルギー源となります。子どもの学力を養うためにも、朝ごはんはとても重要な役割を果たすといわれているのです。

朝ごはんを習慣化するために家族でできること

もちろん子どもだけでなく、大人にとっても健康や1日の仕事や家事をがんばるために、朝ごはんは欠かせません。疲れが残っていたり寝不足が続いたりすると「朝は飲み物だけ……」なんていうことになりがちです。では、家族でしっかりと朝ごはんをとることを習慣づけるには、どうしたらよいのでしょうか。

まずは「習慣」となるまで、短い時間でも「朝食時間をつくる」ことから始めてみましょう。朝はどうしても慌ただしくなりがちですが、「朝ごはんを食べるのが当たり前」になれば、たとえ忙しくても朝食時間をつくることが、だんだんと自然になってくるはずです。

ポイントは毎日少しの時間でも、「座って食べる」こと。そのためには、たとえばパパやママが料理を担当し、お子さんも「飲み物を入れる」「箸を並べる」など、役割分担をしながら家族みんなで朝食の準備をしてみませんか。ママやパパが少し楽になったり準備が早くできたりするだけでなく、「朝食を食べよう」という意識がみんなにめばえてくるので、習慣化するにはよいかもしれません。

またたとえば前日の夕食づくりの際に、野菜を入れた味噌汁を多めにつくっておけば、翌朝はごはんを炊くだけですみます。さらに納豆やカットフルーツなどを用意すれば、十分にバランスのとれた朝ごはんになります。忙しい朝に毎日つくると考えると大変なので、朝食づくりはなるべく簡単に、時短でつくる工夫をするとよいでしょう。

「朝は食欲がわかない……」お子さんのご家族へのアドバイス

子どもの成長や健康のために、朝からバランスの良いごはんを食べてほしいと思っていても、「朝は食欲がわかない……」というお子さんの場合、家族はどうしたらよいのでしょうか。

朝が得意な子もいれば、なかなか起きられない子もいたり、食の細い子もいます。ただ朝、食欲がわかないのは、そうした体質的なことだけが理由ではないかもしれません。「夕ごはんが遅い」「夜食べ過ぎてしまう」「夜寝る時間が遅い」「1日の活動量が少ない」などの生活習慣が原因になっていることも考えられます。これらの理由に心当たりがあるご家庭は、生活習慣を見直してみましょう。

それでも体質的に食が細いというお子さんには、ヨーグルトやチーズ、果物など本人が口にしやすいものを用意することからはじめてみてください。親子で負担にならない朝食の環境を、少しずつつくっていくことが大切です。

毎日でなくてもOK!理想の栄養バランスは1週間単位で考える

朝ごはんを家族で食べる習慣がついてきたら、今度は栄養バランスについて考えていきましょう。目安となる理想のバランスは、1食で片手1杯程度のごはんに、片手に乗る程度の肉や魚、大豆製品など、そして両手いっぱいの生野菜(加熱した野菜なら片手分くらいが目安)です。しかし、朝から複数のメニューを準備するのは大変ですし、毎日毎食、理想の食事バランスをとるのはむずかしいものです。

そこで1週間くらいを基準にして、「今日は野菜が少なかったから、明日は意識して多く食べようかな」というように、数日単位で栄養バランスを整えるというように考えてみてください。

大切なのは、無理のない範囲で続けること。1日のはじまりに、家族で食べる朝ごはんが習慣化してくれば、きっと毎日がもっと楽しくなるはずです。

渥美まゆ美さん
管理栄養士、フードコーディネーター、料理家。株式会社Smilemeal代表取締役。出版やメディア出演、レシピ・メニュー開発のほか、元気なうちから健康寿命を伸ばすために必要な栄養の知識と調理力、食事選択力の普及をめざし、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い分野で食と健康に関わる活動をしている。

時短レシピも上手に活用して、家族でバランスの良い朝食をとりましょう

朝食をしっかり食べるためには、夕食を食べすぎたり、夜更かしたりせず、「早寝・早起き」を習慣にすることも大切です。正しい生活リズムをつくり、朝ごはんを食べることが健康や食育にもつながるので、家族みんなで取り組めるといいですね。

⇨親子で学ぶ、家庭でできる「食育」アイデアはこちら

また朝食はできるだけすばやくつくりたいですよね。『ひなたおたより』では、慌ただしい朝にぴったりな時短でできる朝ごはんレシピもご紹介しています。こちらの記事も参考に、家族で朝ごはんを楽しみましょう。

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