まるで「風の谷」のよう!風力発電のしくみに迫る【親子で学ぶエネルギーの未来】

2020/09/07

山の上や海の上に立っている巨大な風車を見たことはありませんか?それは、風の力を利用した「風力発電」 です。

遠く離れた場所からでも確認することができる風力発電。いったいどのくらいの大きさなのでしょう?また私たちがいつも利用している電気のうち、どのくらいが風力発電によってまかなわれているのでしょうか?

ここでは、地球環境にやさしい「再生可能エネルギー」のひとつとして注目を集める風力発電について学んでいきましょう!

風力発電のしくみ

まずは、風力発電が電気を生むしくみについて解説します。風車の大きさや発電量、発電所として適した場所について想像してみましょう。

どうして風の力で発電できるの?

風力発電では、風車のようなプロペラ型のシステムがもっとも一般的です。プロペラ型の風力発電は「ブレード」と呼ばれる大きな羽根と、動力機が内蔵されている「ナセル」、そしてそのふたつを支える支柱の「タワー(塔体)」で構成されています。

まず、ブレードが上空を流れる強い風を受けて回転すると、その力はブレードの後ろにあるナセルに伝わります。ナセル内の「倍速機」が風の力を感知すると、ブレードの回転速度を上げて力を倍増させます。そして、同じくナセルの中にある発電機に動力が伝わり、電気に変換されるというしくみです。

発電した電気は、タワーの中を通って地上に降り、変圧器を通って送電線を伝い、私たちの元に届けられるのです。

大きさはどのくらい?

プロペラ型の風力発電の多くは、地上100m以上の高さで、ブレードの直径は約60〜90mにもなります。高度が上がるほど風は強くなるので、より高く、大きな風力発電ほど大きなエネルギーを生み出せることになります。

近年では、海の上に風力発電を設置する、大規模な洋上風力発電の開発が進んでいます。海の上に設置する風力発電は陸のものよりもさらに大きく、180mを超えるものもつくられています。

どのくらい発電できるの?

風力発電でどのくらい発電できるのか、実際の発電所の例で見てみましょう。たとえば、愛知県の「田原4区風力発電所」では、2,000kWのプロペラ型風力発電機が3基設置され、一年間で約1,400万kWhを発電しています。これは、一般家庭の約4,500世帯の年間電気使用量に相当します(※1)。

また、島根県の発電所「ウインドファーム浜田」では、1,670kWの発電機が29基設置され、年間で約8,500万kWの発電を行なっています(※2)。これは、一般家庭の約2万3,600世帯分の年間電力消費量に相当する電気量です。

これほどのパワーがあれば、風力発電だけでも私たちの暮らしに必要な電気がまかなえるような気がしてしまいますね。

※1)関西電力「田原4区風力発電所
※2)SBエナジー「ウインドファーム浜田

風力発電所はどこにある?

風の力を利用する風力発電では、年間を通して比較的安定して風が吹く場所が適しています。具体的には、毎秒6m以上の風速が安定して吹いている場所で、広い土地であること。また風車の建設資材が運搬できる広い道があり、送電線が近くにあることなどが条件として求められます。

国内における風力発電導入量を都道府県別に見ていくと、青森県、北海道、鹿児島県、秋田県、福島県の順に多く、各地域では巨大な風力発電機が沿岸部や半島、岬などで見ることができます。もしも訪れた際に見つけたら、ぜひ近くまで行ってみてください。きっとその迫力に圧倒されるでしょう。

風力発電のメリットと最新情報

風力発電のしくみがわかったところで、ここからはメリットや最新情報について解説しましょう。

風力発電は環境への負荷が少ない?

私たちの生活に欠かせない電気は、古くから石炭や石油、天然ガスなどを利用してつくられてきました。しかし、これらはいつか地球から枯渇してしまう資源であり、発電する際には地球温暖化の原因のひとつとされる二酸化炭素を多く排出します。

これに対して、太陽光、風、水、地熱、バイオマスなどは尽きることがなく、「再生可能エネルギー」と呼ばれ、未来型のクリーンなエネルギーとして注目を集めています。この自然エネルギーのうち風の力を活用した風力発電は、燃料を必要とせず、廃棄物も排出しない、地球環境への負担が少ない発電方法であることが実証されています。

では、この風力発電は、日本をはじめとした各国の発電量において、どのくらいの割合を占めているのでしょうか。

日本では、2019年の統計で発電量全体に対する風力発電の比率は、わずか0.8%(※3)。風力発電で世界トップのデンマークでは、なんと全体の発電量のうち約45%以上を風力でまかなっています(※3)。このデンマークをはじめ、北欧の多くの国ではさまざまな自然エネルギーを最大限に活用した、エコな社会づくりが進んでいるのです。

※3)認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所「2019年(暦年)の自然エネルギー電力の割合(速報)

風力発電はクリーンなだけでなく、発電効率もいい!

さまざまなエネルギーから電気をつくるときは、発電する過程でロスが生じます。つまり、エネルギー資源の量と、実際に生まれる電気の量は、イコールではありません。では発電に使ったエネルギーのうち、電気になる割合を示す「発電効率」は、どのくらいだと思いますか?

太陽光発電は最大20%、風力発電は30〜40%、水力発電は最大80%、バイオマス発電は約20〜31%、地熱は約8%となっています。3〜4割を電気に利用できる風力発電は、比較的効率が高いエネルギーだと言えますね(※4)。

※4)タイナビ発電所「再生可能エネルギーの発電効率を見てみよう

夜間でも発電できるの?

再生可能エネルギーの中でも、太陽光発電と違い、風力発電は風さえあれば夜間でも発電が可能です。ただし、風が弱すぎたり強すぎたりするときは発電できないことがあります。風車は風速2mで回り始め、風速3〜25mのときに発電し、それ以上の強風になるとブレードは停止してしまいます。

家庭向けの風力発電もある?

大規模な発電機や発電所が必要な風力発電ですが、実は家庭にも導入できる小型の風力発電機もあり、25,000〜50,000円程度で購入することができます。

建築基準法においては、支柱の高さが15m未満であれば問題はなく、20kW未満の小型風力発電であれば、消防法においても届出の必要はありません。

しかし、騒音に関して隣近所とトラブルになる恐れがあります。風力発電機は振動音や超音波を発生することもあるので、設置の際には十分に注意し、事前に設置条件などを自治体に確認するようにしましょう。

最新の風力発電は羽根がない!

プロペラを回して風の力を得ることが常識とされていた風力発電ですが、スペインの企業で新たなイノベーションが生まれました。それは、なんと羽根のない風力発電機です。


出典:Vortex Bladeless Wind Power

高さ2.7mというコンパクトなサイズで、ロケットのような形をした円筒状の発電機は、地面に固定される下部と、振動する上部に分かれています。筒の中にはコイルと磁石による発電装置が内蔵されていて、振動する事でエネルギーをつくりだすしくみになっています。

このように、再生可能エネルギーに関する開発ビジネスも年を追うごとに高まりを見せ、めざましく発展している分野でもあるのです。

風力発電と未来の暮らし

まるでアニメに登場してくるような巨大な風力発電のプロペラは、風という自然エネルギーを動力として活用し、たくさんの電気を生み出しています。現段階では、沿岸部や山間部など広い土地のあるところに設置されることが多いですが、最近は都市部でも小型の風力発電機が見られるなど、その可能性は広がりつつあります。

風は、地球が存在する限り、なくなるようなことはありません。また再生可能エネルギーの中でも発電効率が高く、二酸化炭素や廃棄物も排出しないことから地球環境にもやさしいエネルギーであると言われているのです。

同じように太陽光や水力、地熱、バイオマスを活用したクリーンな再生可能エネルギーは、子どもたちの未来を守る、とても重要な役割を果たすテクノロジーです。私たちの生活に欠かせない電気を生み出すエネルギーの未来について、親子で一緒に考えてみませんか?

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