ごみがエネルギーに変身!「バイオマス発電」ってなに?【親子で学ぶエネルギーの未来】

2020/09/11

私たちが生活の中で出し続ける大量のごみが、電気に変えられることをご存知でしょうか?

ごみはときに環境を汚染し、私たちの健康を害する社会問題となっています。日本では、この問題を解決するひとつの手段として、社会から出るごみの一部を再利用して電気をつくる「バイオマス発電」を、15年以上も前から導入しています。そのエネルギーの使用比率は、日本の発電量全体のわずか2%(※1、2017年度)ですが、未来の地球を守ることができる再生可能エネルギーのひとつとして、いま注目を集めています。

ここでは、バイオマス発電のしくみや、バイオマス発電が環境にやさしいと言われる理由について詳しく解説します。あまり聞きなれない「バイオマス」という言葉には、どのような意味があるのでしょうか。

*1)出典:一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会「バイオマス発電の普及状況

バイオマス発電のしくみ

まずは、バイオマス発電のしくみについて解説しましょう。

そもそもバイオマスとは?

バイオマスを英語で表記すると、生物という意味の「bio」と、量を意味する「mass」から成り立っています。バイオマス発電の材料となるものは、石油や石炭などの化石燃料をのぞいた、動物や植物に由来する生物資源とされています。

農林水産省では、バイオマスは「家畜排せつ物や生ごみ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のこと」と定義しています。

これらのバイオマスを燃料として直接燃やしたり、発酵させたりすることで発生したガスを燃料にして電気を作るしくみを、バイオマス発電と呼んでいます。

バイオマス発電に種類はあるの?

バイオマス発電には、大きく分けて3種類の発電方法があります。

①直接燃焼方式

木材や可燃ごみなどを直接燃やし、発生する水蒸気によってタービンを回して発電するしくみです。

木材そのままだと搬送にコストがかかる、含水率にばらつきが出て燃焼の効率が悪くなるなどのデメリットが多く、反対に木くずなどは燃焼しても得られる発熱量が小さいため、燃焼効率やエネルギーの変換効率を高めるために、木くずは固めて固形燃料の「木質ペレット」に、間伐材は細かく砕いて「木質チップ」に加工し、利用しています。

②熱分解ガス化方式

木材や、農業で出る残さ(茎や葉など)を主に利用します。これらをガス炉で蒸し焼きにして可燃性ガスを発生させ、そのガスを燃料としてタービンを回して発電するしくみになっています。

燃焼温度が高く、燃料を最大限活用できることがメリットであり、直接燃焼方式と比べて、同じ発電規模でも設備をより小さくすることができます。

③生物化学的ガス化方式

下水汚泥や家畜の糞尿、生ごみなどを発酵させることでメタンなどのガスを発生させ、それを燃料にタービンを回して発電するしくみです。

水分が多く燃えにくいバイオマスでも有効活用ができることがメリットであり、ガスの発熱で効率的に発電が行える方法です。

どのくらい発電できるの?

たとえば、2020年1月に運転を開始した岩手県の大船渡バイオマス発電所の発電出力は、国内最大級の7万5000kW。年間の発電量は、一般家庭の約11万9000世帯の消費電力に相当します(※2)。

反対に小規模なバイオマス発電施設の例として、岐阜県の森林資源活用センター発電所が挙げられます。その発電出力は600kWで、大船渡の125分の1程度。発電所によって規模は様々です(※3)。

現在、バイオマス発電は、2017年時点で日本国内のエネルギー比率のうちわずか2%にすぎません。しかし年々バイオマス発電所の数は増え続け、2017年3月時点で国内には491カ所のバイオマス発電所があり、約1,200万kWの発電量が確認されています(※4)。

※2)出典:イーレックス株式会社「岩手県「大船渡バイオマス発電所」営業運転開始のお知らせ
※3)出典:東濃ひのき製品流通協同組合「森の発電所(森林資源活用センター)
※4)出典:一般社団法人 日本木質バイオマスエネルギー協会「バイオマス発電の普及状況

バイオマス発電はどこで行なっているの?

環境への負担が少ない再生可能エネルギーのうち、太陽光発電、風力発電、水力発電などは限られた条件が揃った場所でないと発電所を建設できません。それに対して、バイオマス発電は気象条件や地理的な制約の少ない発電方法であるといえます。

その特徴をいかして、ごみ処理場の近くにバイオマス発電所をつくったり、木くずや間伐材を利用する場合は木材事業者が多い場所、また輸入される廃油であれば港に近い場所など、バイオマス発電所は燃料を調達しやすい場所に設置されることが理想とされています。

バイオマス発電のメリットと課題

廃棄物を再利用できて地球にやさしいバイオマス発電は、メリットも多い反面、課題もあります。ここでは、メリットと課題について解説していきましょう。

バイオマス発電は再生可能エネルギーのひとつ

2017年時点で、日本ではまだ石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を用いた発電方法に80%以上を頼っています(※5)。化石燃料はいずれ枯渇するエネルギーと言われ、子どもたちの未来を守るためには、これに代わるエネルギーをつくらなければなりません。

また、化石燃料を燃やして発電をする際には、地球温暖化の原因でもある、二酸化炭素を発生させてしまいます。これらの問題を解決するために、枯渇せず、さらには二酸化炭素を排出しない「再生可能エネルギー」が世界的に採用され始めており、バイオマス発電もそのひとつに分類されています。

⇒再生可能エネルギーってなに?詳しくはこちら

ここで、疑問を持った方はいませんか?

ものを燃やすとどんな燃料でも二酸化炭素を排出する。つまり、バイオマスを燃焼させて発電するバイオマス発電も、例外ではないはずなのに、なぜ再生可能エネルギーの仲間なのか、不思議ですよね。

それには、「カーボンニュートラル」という考え方が関係しています。

※5)出典:資源エネルギー庁総務課戦略企画室「平成29年度(2017年度)におけるエネルギー需給実績(確報)

カーボンニュートラルとは?

二酸化炭素は、植物の成育に必要な4大要素のひとつです。

そのため、発電の際に発生する二酸化炭素は、燃料のもととなる植物が、成長過程で吸収したものと考えることができます。すなわち、成長過程で大気中から吸収した二酸化炭素を燃焼時に排出しているだけなので、結果的に大気中の二酸化炭素の濃度は変わらない、ということになります。この考え方がカーボンニュートラルです。

一方、化石燃料はどうでしょうか。化石燃料は、元をたどれば太古の植物や動物、微生物から生成されたもので、バイオマス燃料と同様に二酸化炭素を多く吸っています。

しかし、化石燃料が吸収した二酸化炭素は何億年も前のものなので、今、化石燃料を燃やして二酸化炭素を発生させると大気中の二酸化炭素濃度が上がってしまうと考えられています。つまりカーボンニュートラルは、バイオマス燃料が二酸化炭素を排出するスピードと、動植物が二酸化炭素を吸収するスピードが、ほぼ同じ程度にならないと成り立たない理論でもあります。

そのためバイオマス発電をいたずらに増やしてしまうと、化石燃料と同じように地球を汚してしまう結果をまねきかねないので注意が必要です。

木質バイオマスが森を育てる

バイオマス発電が活躍する場のひとつが、森林の周辺です。

林業の森林整備では、森を健康に育てるために間伐という作業を行なっています。適切な間伐をすると森の中に陽が射し込むことで植物が健康に育ち、木がしっかりと土地に根ざすことで大雨の際に土砂崩れを防ぐ役目を果たしてくれます。

しかし、その際に出る間伐材は、年間800トンにも達し、製材用に利用する部分以外はそのまま山に放置され、山の荒廃を加速させていました。そこで、こうした多くの間伐材をバイオマス燃料に利用することで、山の荒廃を防ぎ、森を育て、自然災害を防ぐ地盤をつくることができるようになります。

ごみも大切な資源になる

再利用可能な生物資源から電気を生み出すバイオマス発電は、太陽光や風力などの自然エネルギーと違って、資源さえ確保できれば安定した発電が可能になることが大きなメリットです。住宅や木材の製造工程で不要になった木くずや、家庭で捨てられる生ごみ、家畜の糞尿、廃油などは、私たちが生活する限り廃棄され続けるもの。こうした不必要になったものを、大切なエネルギー(必要なもの)に変えていく循環型の消費システムは、持続可能な社会をつくるには必要不可欠なテクノロジーです。

暮らしの中で日々、排出されるごみも、大切な資源になることをぜひ覚えておきましょう。

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