エコカーとは? 減税の種類やメリットを紹介
2020/11/27

「エコカー」という言葉をさまざまなメディアで頻繁に聞くようになりましたが、環境性能に優れたクルマということはわかるものの、その種類や定義について今ひとつわからないという方も多いでしょう。エコカーが注目されている理由のひとつには、たとえば、地球環境に配慮したクルマであることから減税の対象になるため、家計にもやさしいということが挙げられます。
愛車を乗り換えるときも、新しくクルマを購入するときも、エコカーのことや各種減税措置について知っておいて損はありません。今回は、気になる燃費や環境性能なども含めて、エコカーについてまとめました。
エコカーとはどんな自動車?
エコカーとはそもそもどういったクルマのことでしょうか。また、エコカーの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。
エコカーの種類
エコカーとは、二酸化炭素や窒素酸化物などの排出量が少ない低公害車のこと。燃費も良いことからエコカーの「エコ」には環境という意味のエコロジーと、節約という意味のエコノミーの両方がかけられています。
2018年度における日本の二酸化炭素排出量11億3,800万トンのうち、自動車や船舶など輸送の目的で使用された運輸部門は、18.5%(2億1,000万トン)を占めています(※1)。
目に見える近年の気候変動の影響もうけ、温室効果ガス対策として積極的なエコカー導入の機運が世界中で高まっています。
エコカーには、石油だけに頼らずエネルギー効率の良いことを条件に開発されたクルマとして、大きく分けて下記の5種類があります。
ハイブリッドカー(HV)
ガソリンを燃料に使用するエンジンと、電気で動くモーターを併せ持つエコカーです。走行時にエンジンとモーターのふたつの動力を使い分けることで二酸化炭素の排出量を大幅に削減する仕組みになっています。
電気自動車(EV)
電気自動車は、ガソリンを使わずに充電してモーターで走行する仕組みです。ガソリン車に比べて一度の充電で走る距離が短いことがデメリットですが、最近では自宅以外にショッピングモールやコンビニなどさまざまな施設で充電することができるようになってきました。
プラグインハイブリッドカー(PHV)
プラグインハイブリッドカー とは、ハイブリッドカーと電気自動車を掛け合わせて進化させたエコカーです。ご家庭の電源コンセントからも充電することができ、ハイブリッドカーよりもバッテリー容量が大きいことが特長。モーターで走る距離が長いためハイブリッドカーよりもさらに二酸化炭素排出量を削減することができます。長距離ドライブも安心のエコカーです。
クリーンディーゼル搭載車
軽油を燃料とするディーゼル車は、大気汚染の原因となる有害物質を排出することで環境への影響が課題となっていましたが、技術の進歩によってガソリン車よりも二酸化炭素排出量を軽減させることに成功しました。クリーンディーゼルもエコカーに分類され、エコカー減税の対象になっています。
燃料電池自動車
燃料電池自動車は、水素を燃料にしています。燃料電池に水素と酸素を取り込み、化学反応で発生させた電気で走行させる仕組みのエコカーです。燃料電池自動車が走行時に排出するのは水のみです。
上記の5つのエコカーのほか、ガソリンとサトウキビやトウモロコシからなるバイオエタノールによって走行するエコカーなども開発されています。
※1)国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」
日本のエコカー比率は?
自動車産業において世界トップクラスの日本では、電気自動車やハイブリットカーなど環境性能に優れたクルマがたくさん開発されています。しかし、日本のエコカーのシェアは世界と比べてあまり進んでいるとはいえません。
2018年度の国内新車販売台数において、エコカーは全体の37.8%を占めています。ハイブリッドカーはそのほとんどである32.6%、10年で約15倍のシェアを伸ばしました。電気自動車の比率は0.60%、プラグインハイブリットカーは0.53%、燃料電池自動車は0.01%、クリーンディーゼル車は4.0%という内訳になっています(※2)。
一方、世界に目を向けてみると、環境意識の高いヨーロッパ・ドイツでは2020年9月の新車販売において、電気自動車のシェアが8.0%に達したことが報じられています。さらに、環境先進国の北欧ノルウェーでは政府による電気自動車普及政策が功を奏し、なんと電気自動車のシェアが6割を超えています(※3)。
日本の新規乗用車販売台数では、エコカー以外の従来車の比率が62.2%となっているのでノルウェーと逆転しています。こうした状況を改善するため、日本政府は2030年までに次世代自動車の普及率を50〜70%まで、電気自動車とプラグインハイブリッドカーは20〜30%まで引き上げる目標を立てました(※4)。このあとご紹介するエコカー減税の導入は、こうした大きな目標を達成するための施策でもあるのです。
※2)一般社団法人 次世代自動車振興センター「日本政府の長期ゴール・次世代自動車普及状況」
※3)日本経済新聞社「独英仏のEV・PHVシェア、1割超え 9月新車販売」
※4)国土交通省・経済産業省「EV/PHV普及の現状について」
エコカー減税とは?
エコカー減税とは?
環境性能に優れたエコカーを購入すると、税金の負担を軽減するエコカー減税が適用されます。(※5)。
2019年9月までエコカー減税は、自動車を購入したときに車両の重量に応じて課税される「自動車重量税」と、自動車取得価格に対して課税される「自動車取得税」に対しての減税措置でした。しかし、2019年10月以降は制度改変によって「自動車取得税」が廃止され、現在は「環境性能割」が導入されています。そのため現在は購入時の自動車重量税に対して適用されます。
優遇率:新車購入時か初回の継続車検時に25%~100%減税
適用期間:2019年5月1日~2021年4月30日まで適用
エコカー減税が適用されるクルマは、ガソリン車および、次世代自動車と呼ばれるハイブリット車、電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼル車などが対象になり、燃費基準によってエコカー減税の優遇率が異なります。
グリーン化特例、環境性能割とは?
環境に配慮したエコカー購入の優遇措置として導入されている、グリーン化特例、環境性能割も見逃せません。
グリーン化特例
「自動車重量税」が優遇されるエコカー減税に対し、グリーン化特例は排気量に応じて課税される「自動車税・軽自動車税」に適用されます。
優遇率:新車登録後に初めて納税する時 25%~75%減税(一部例外があります)
適用期間:2019年4月1日~2021年3月31日まで適用(2021年4月1日より新基準に)
環境性能割
2019年10月よりエコカー取得の優遇措置として導入されたもので、燃費のいいエコカーであるほど税率が低くなる仕組みです。税率は、2020年現在、環境負荷軽減(燃費基準値達成度など)に応じて、非課税、1%、2%、3%の4段階に区分けされています。例えば、電気自動車は最も税率の低い「非課税」となっています。
なお、環境性能割では、臨時的に対象の税率から1%が引かれる軽減措置がとられています。本来、この臨時的軽減措置は2020年9月30日までの予定でしたが、2020年4月に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急済対策」の税制措置により、2021年3月31日まで延長になりました。
※5)経済産業省「大きく変わった、クルマの税。」
エコカーを選ぶメリット
エコカーのメリットは減税だけではありません。
エコカーはお財布にやさしい?
従来のガソリン車と同じように、ハイブリッド車や次世代自動車などのエコカーの場合も車検の費用が必要になりますが、車検時にかかる重量税がエコカー減税の対象となるので、費用が抑えられます。
維持費が安い!電気自動車のランニングコストは?
電気モーターを積んでいる電気自動車やプラグインハイブリッドカーの場合、バッテリーを消耗しやすいためにバッテリー交換代が高額になるといわれますが、それ以外のエンジンオイルやブレーキパッドなどの部品がエンジン車よりも長持ちするといわれています。
また電気自動車とガソリン車の燃費を比較した場合、電気自動車を自宅充電で使用するならガソリン車やハイブリッド車よりもコストが低く、公共の充電スタンドを使う場合でも軽自動車並みのコストに抑えられることも可能だという発表もあります(※6)。
このように新車の車両価格や初期投資に費用がかかることで“高い”というイメージのある電気自動車ですが、長い目で見ると経済的といえる場合もありそうです。
再生可能エネルギーの普及で躍進するエコカー
そのほかにも、エコカーの大きな特徴として、環境にやさしいことが挙げられます。
エクセター大学(イギリス)、ナイメーヘン・ラドバウド大学(オランダ)、ケンブリッジ大学(イギリス)が共同でおこなった研究によると、電気自動車は世界の多くの地域でその製造から廃車に至るまで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素排出量でガソリン車の数値を大きく下回ることが証明されています(※7)。さらに再生可能エネルギーへの切り替えが進むことで、将来的に大きな炭素削減が見込まれており、環境問題の解決に大きな期待が寄せられているのです。
※6)EVsmartブログ「結局電気自動車にすると自宅の電気代が上がるからガソリン代より割高じゃない?」
※7)日産自動車 電気自動車(EV)総合情報サイト「電気自動車のCO2排出量、ガソリン車を下回ることが研究で明らかに」
エコカーでエコと節約を両立
環境面の観点から付き合い方を見直したい自家乗用車ですが、あるとやはり便利ですし、家族の行動範囲も広がりますよね。環境性能に優れ、燃費の良い次世代自動車を中心としたエコカーの普及は、政府による施策などもあり、今後さらに増えていくことが予想されています。
エコの実践はクルマ選びだけではありません。環境面に考慮しながら、費用を抑えることを考えるのであれば、たとえば、日々の電気の使い方についても見直してみませんか?日々のちょっとした取り組みでエコと節約を両立させることができれば、きっと気持ちの良い暮らしが実現して、家族の時間やそれぞれの趣味などをさらに充実させることができるかもしれません。
⇒日々の工夫で省エネ&節約!そのヒントはこちら
また、エコカー減税のように、ちょっとずつではなく一気に節約できる方法を知りたい!という方は「電気会社の見直し」もご検討してみては?
ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
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